毎回同じようなアイデアがでるものです。
開発した本人は自慢なのでしょうが、売れないですね。
或る見本市で見かけた失敗と判断される新商品です。開発した本人は自信満々で出品されているようなのですが、社会がどのような商品を必要としているかご存じ無いようです。誠に可哀相なものです。
上段の写真は、介護用のサイドカー自転車です。電池で動く自転車に要介護者が座る椅子を側面に連結し、三輪で走行できるものです。簡単な取り付けでサイドカーとなり、電池駆動の自転車なので介護者の脚力も必要とせずに街をスイスイと走行できる、はずなのですが。こんな商品は誰も買いません。
理由は沢山あるのですが、サイドカーであるため走行中の操舵が面倒で、転倒することもあります。高齢者が自転車の側面に座って街を動いていても、見栄えが悪いものです。最大の理由は、スズキなどの大企業が電池走行の四輪車(名前は忘れたが)を発売していることです。スズキなどで販売している介護用四輪車は技術的にもレベルが高く、安全性にも十分に気を使ってます。価格も三十数万円となり、この改造自転車とそれ程大きな差がありません。見栄えが悪く、転倒のおそれが高く、価格もそれほど安くない商品を購入する消費者はいません。大企業が既に販売しているようなマーケットに中小企業が乗り込んでいっても勝ち目はありません。この商品を開発した社長は、多分、自社の技術で簡単に加工できると思いついたのでしょう。こんな馬鹿げた商品開発をしていては、会社そのものが奇怪しくなるでしょう。
中段、下段の写真は室内で清浄野菜を育成できる機械です。回転するドラムの野菜籠を吊るし、半円形となった蓋の内側に設けた蛍光灯で野菜を育てようとするものです。低下は二百万円に設定したい、とのことでした。だが、機械の大きさからすれば、育成できる野菜は微々たる量です。パセリか小松菜のようなこぶりの野菜しか収穫できません。それに対して、機械が高価であり償却費が高くなり、育成するために必要な光熱費の費用を考えると全く収支に合いません。一本千円のパセリが出来上がってしまいます。使う立場を考えないで開発したのでしょうか。多分、南極観測隊の越冬隊なら、青い野菜が必要なので購入するかもしれませんが、一台きりでしょう。なお、技術的に観察しても、それ程高度なレベルでもなく、普通の鉄工所であれば組み立てることができるような内容でした。
2005年10月25日