サ付き住宅はこれからの巨大産業になるかとおもわれます。
変わったタイトルの「高齢者住宅フェア」に出掛けてきました。この見本市は「高齢者のための住宅を販売する不動産業者の集まり」でもなく、「高齢者が働く住宅施工会社の集まり」でもありません。この見本市は、「サービス付き高齢者向け住宅(略して、サ付き住宅)」を運営している企業や、これからサ付き住宅を運営したい地主のためのものです。
「サ付き住宅」とは、独立して生活を維持できなくなった高齢の単身者或いは夫婦のための賃貸住宅のことで、食事、介護などのサービスをしてくれる施設なのです。昔は学生向けに賄い付き下宿というものがありましたが、それの老人版を考えればよいでしょう。つまり、サ付き住宅とは、「老人向けに三食の食事を提供してくれて、日夜健康に異変が無いか監視してくれて、医療機関や薬局の取り次ぎをしてくれる住宅」と解釈すれば良いかと思われます。
このサ付き住宅は、ある程度の体力があって特別養護施設に入るまでもないが、老人ホームに入る程の資金を持たない老人を対象としているようです。なぜ、サ付き住宅専門の見本市が発生したか、というと、政府による支援策にあるようです。日本は高齢社会になって特別養護施設が不足しており、独居老人などを収容する施設を整備する必要に迫られています。寝たきりではなく、日常生活は何とか対処できるのだが、軽い支援が必要な老人に向けた優良な賃貸住宅を増強しなければならなくなりました。そこで、政府は特定の条件を満たしたサ付き住宅には助成金を支払い、税金もある程度減額するという優遇策を2011年から打ち出しました(サ付き住宅となる条件は、他のブログで参照して下さい)。
支援金が貰えて税制面で優遇されるとあって、この住宅産業に乗り込んできた企業が増えてきたのです。あの有名なワタミもその一つです。老人だけを集めて集団生活を行ない、食事や生活面での世話をしてくれる、というのは独居老人にとっていいことなのですが、何かと問題も多いようです。それはさておき、老人用賄い付き住宅に参入している企業やこれから参入する予定の企業を支援するためにこの見本市が開催されたのです。高齢者が増えていくため、このサ付き住宅は巨大なマーケットと予想されます。また、高齢者の日常生活の全てを支えるため、関連する産業は幅広いものとなっています。このため、見本市会場には思いもかけないような企業が出店していました。
二段目の写真は通路であり、老人施設の関係者で賑わっていました。三段目、四段目の写真は建築会社のブースで、サ付き住宅を経営するとなれば、まずは専用の建物が必要となります。この建築会社では、法律に定められた規格の住宅の受注を宣伝していました。建築模型を見ると、建物の内部を細かく仕切り、多数のワンルームになってます。高齢者であっても広々とした部屋に住みたいのでしょうが、法律で一部屋の広さが決められているのでしかたがありません。建築会社はこの他にも多数出店してました。
五段目の写真は、サ付き住宅を運営したい企業に向けて、建物や土地を斡旋する不動産屋のブースです。六段目の写真は、高齢者に向けてサ付き住宅を紹介する不動産屋のブースで、もう高齢者専門の不動産業者が現れているのでした。
2013年8月3日