中途半端な機能のステッキでした。

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便利そうなんですが、実際には不便ではないでしょうか。


 「東京ビジネスサミット」の会場で見つけた新商品です。ステッキなのですが、握りの中にあるレバーを引くと4本の棒がタコ足のように広がり、ステッキを安定化させるのだそうです。通常はステッキとして使い、老人が疲れたときには棒を広げて多点杖となるものです。二つの利用方法があるため外出には便利になりそうです。
 しかし、このステッキは売れないでしょう。全体が重いのです。中心の棒にはレバーと連動したロッドが仕込んであるため、約700グラム以上あります。ステッキとしては重くなり、持ち運びに不便となるはずです。一石二鳥を狙ったアイデアなのですが、ステッキでもなく、多点杖でもなく中途半端な商品となってしましました。
 このステッキを見た私が説明員に「これは売れないよ」と返事をすると、説明員はカンカンになって怒り始めました。試作品が出来たので、始めて一般に披露する見本市で売れないといわれたのですから怒るのは当然でしょう。今まで研究してきた新商品を発表し、これから全国に大きく販売できるはず、と夢を持っていたところに冷水をかけられたようなものですから。
 しかし、新商品の欠点を早い内に指摘されるか気が付いて、マーケットでは需要が無いと判断したら早期に撤退することも重要です。売れ行きが悪いと感じながらも、あまりに自分のアイデアに惚れ込んで深入りすると大きな傷になってしまいます。実際、新商品の開発にのめり込み、投資を続けたために会社そのものが解散してしまった実例が沢山あります。商品開発もいいのですが、諦めて撤退するのも重要なことです。
2006年11月18日