出展者に大企業が目立つようになってきました。

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福祉・介護の業界は巨大化してしまい、中小の企業の出られる分野ではなくなりました。

 老人介護や障害者向けの「国際福祉機器展」に出掛けてきました。この見本市は40年の歴史のある福祉機器を専門としたものです。その昔のことは知らないのですが、介護保険法が施行された2000年(平成12年)には新規産業分野ということで多数の中小企業が参入してきました。その頃のこの見本市には全国から新しいアイデアで試作して福祉機器が展示され、それは賑やかでありました。しかし、ここ2、3年はこの見本市の会場の様子が変わってきたのです。
 まず、会場の広さなのですが、今まではビックサイトの東館の6ホールを借り切っていたのですが、今年は5ホールに縮小しています。会場の面積が縮小されたことは、それだけ出店する企業が減少しているからです。これには色々な理由が考えられます。
 ① 福祉は巨大なマーケット。
 福祉関係の国の予算は2012年度(平成24年度)において21兆円となっていて、その中の8.4兆円が介護関係に回されています。これは巨大なマーケットであり、しかも高齢化により年々予算額が増加しています。トヨタ自動車が2012年度に全世界での売上高が18兆円であることと比較すると、いかに膨大な予算であることが判ります。マーケットが巨大であることはいいことなのですが、中小企業にとってはどこから進出してよいか判らなくなるでしょう。
 ② 出店者が大手企業に集中している。
 ここ数年の会場には、一部上場などの大企業のブースばかりが目立ちます。10年前では名も知れない中小企業のブースも目立っていて、それなりに面白いものでした。しかし、マーケットが巨大となったことから、逆に大手企業にとっては参入しやすく、資本も投下し易い環境となったのです。二段目の写真は本田技研による介護車、三段目の写真は文具業界の大手である内田洋行、四段目の写真は紙おむつを販売する王子製紙グループ、五段目の写真はベッドの大手フランスベッドです。それぞれ業界ではトップの大手企業であり、このような大企業と中小企業が立ち向かう訳にはいかないのです。
 ③ 来場者が若者になった。
 六段目の写真は会場の通路で、どこにいっても人ばかりでした。主催者発表では3日間で12万人であったとのことです。しかし、来場者を観察すると七段目の写真にあるように、若い人達が多いのです。彼らは高校生や専門学校生であり、介護関係の学校に通っている人達なのです。将来は福祉施設や介護施設で働くことが想定されます。このため、学校側では生徒にこの見本市にでかけ、最新の福祉機器を観察してくるように指導しているのです。すると、会場内は人込みとなるのですが、福祉機器を購入しようとする福祉施設の決裁権のある人達が相対的に少なくなるのです。早く言えば、ブースで出品していても、単に商品を眺めて行くだけのお客さんばかりで、実際に商品を購入してくれないのです。会場がショールームになってしまったのです。
 このような理由により、中小企業の出店は激減し、巨大なマーケットに乗り込んでいる大企業が商品をアッピールするための宣伝のための見本市となってしまったようです。これから、この見本市がどのように変わっていくのか知れませんが、マーケットが巨大となっているため、隙間商品やニッチ企業が活躍できるような場ではなくなりつつあります。
2013年9月23日