有りそうでなかった見本市なのです。
居酒屋のおやじ連中が集まっていました。
繁華街や駅前のどこでも見かける居酒屋の経営者を対象とした「居酒屋産業展」に出掛けてきました。居酒屋というと別名が「赤提灯」「縄暖簾」などとも呼ばれ、サラリーマンのお父さん達が、ちょいと一杯、のために入る店です。どちらかと言えば和風の料理を出して日本酒を飲ませる店、というのがイメージではないでしょうか。しかし、居酒屋の定義は特に無く、何を基準にして居酒屋と判断するかは非常に難しいものでしょう。多分、洋風のスナックでもなければ、ホステスが待機するバーでもなければ、居酒屋という大まかな定義に入るのではないでしょうか。まあ、要するに、手頃な金額で酒が飲めて、自宅や会社の近くにあって、服装などを気にしなくとも気楽に入店できる店といったところでしょうか。
さて、この居酒屋の実態は把握するのが困難で、全国には数万店があるとも、二十万店があるとも言われていて、マーケットがハッキリしません。また、経営の内容についても千差万別であり、経営主体からすれば、夫婦二人でこじんまりと経営している店から、直営店だけで数百店もある居酒屋チェーン本部まであります。また、店の規模からすると、数人が入ったら一杯になる極めて小さな店から、三百人以上が一度に入ることのできる大規模店まであり、業態は変化に飛んでいます。経営規模、内容の差に関係なく、それぞれの店が酔客を呼び込んでいるのでしょう。なお、全国の居酒屋の70%程度が実はフランチャイズ店かチェーン店となっていて、独立系の居酒屋は少なくなっていく傾向にあります。
居酒屋の業界はこのようなものですが、全国の独立系の居酒屋向けの見本市は今までになく、今回の見本市が初めてなのです。従来からホテルやレストラン、そば屋、弁当屋向けの見本市はあったのですが、居酒屋にターゲットを絞ったものはなかったのです。そういった面から考えると、この居酒屋展は有りそうで無さそうな見本市ということになります。
会場では、居酒屋に向けた企業がブースを展開していました。居酒屋であることから、主な出展者は当然のように、酒類関係会社、食材関係会社が大半でした。特に目を引くのは地方の酒造メーカー、地方の食品会社です。地方の会社は、独立系の飲食店と商談を結び、問屋を通さずに直接取り引きすることがこの見本市への出店の目的としているようです。地方の会社では全国への販路が少ないため、売上げ利益が伸びず、困っているようです。このため、この見本市で販路を開拓しようと一生懸命でした。とりわけ、産業が少ない沖縄からは各種の焼酎メーカー、泡盛メーカーの出店が目立ちました。また、来場した居酒屋の店主は、この見本市で珍しい酒や食材を見つけて、店のメニューに加えていきたいようでした。居酒屋の店舗間でも競争が激しく、他店にはない食材を入手して顧客に目新しさをアッピールしていかなければ生き残れません。ブースの出店者も居酒屋の親父さんも真剣に商談していました。
二段目の写真は酒造メーカーの菊正宗が出店したブースで、赤提灯風のデザインにしていました。暖簾をくぐってカウンターに入るのは、日頃はカウンターの中で仕事をしている居酒屋の親父連中です。立場がちがっているので、どんな心境でしょうか。
三段目の写真は日本酒の問屋のブースで、地方にある美味しい酒を選んで出品していました。埋もれた名酒を一度に並べてあるり、新しい味に出会うこともできるのでしょうか。
四段目の写真はサントリーのブースで、やはり、立ち飲み屋風のブースにしていました。
2008年9月17日