衣類の製造は後進国に移ってしまいました。
国内の縫製機械産業も縮小しています。
アパレル業者が来場する「ファッション産業機器展」に出掛けてきました。この見本市は東京都ミシン商工業協同組合が主催して、衣服を製造する業者(要するに縫製業者)を対象としたもので、今年で47年目となる長い歴史のあるものです。
だが、会場は狭く、活気がありません。他の見本市ではコンパニオンがいたり、派手な飾りつけなどがあるのですが、そんなものはなく、沈滞した雰囲気なのです。来場者の方もそれほど積極的な人は少なく、高齢者が目立ってます。その原因は国内でのアパレル産業が衰退していったことが大きな要因にあるようです。洋服などの衣類の製造は中国、ベトナムなどに殆ど移転してしまい、国内の縫製業界は青息吐息の状態となっているのです。新しく設備投資して縫製の生産ラインを更新しようという業者は少ないようです。また、会場内に展示された機械類についても変わったものが少ないのです。縫製業界は、どちらかと言えば人海戦術の世界であり、オートメーション化やIT化には程遠い業界なのです。衣類の製造では大きく分けて、原反をパターン通りに切断する自動切断機、布切れを縫い合わせるミシン、完成した衣類のしわを取り除くアイロンがあれば成立するのです。新規な商品や機械を新しく提示するような余裕はなさそうです。
そんなことで、会場内をぐるっと回ってきたのですが、隙間商品に該当するような機械は見つけられませんでした。特にミシンについては2、3の大手企業が独占しており、ミシンの業界に新規に参入する企業はありえないでしょう(ミシン会社を買収すれば別ですが)。比較的業界内が固定化された産業といえると考えられます。
三段目の写真はベルトや靴を縫製する専用のミシンです。革を縫い合わせるためにこのような特殊なデザインとなってました。私も初めて見ました。しかし、このような業務用のミシンでは世界的にも特定の企業が業界を押さえていて、新規に参入するのは無理でしょう。また、中国で日本製のミシンなどのコピー商品が出回っていて、相当安価に販売されているようです。こんなことから、アパレル関連の機械を製造するメーカーは売り上げが伸び悩んでいるみたいです。
2008年12月13日