寂しくなった「ビジネスショウ」

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戦後から続く名門の見本市なのだが、このまま続けていいのだろうか。
政府外郭団体の一種の弊害ではなかろうか。


今年も『ビジネスショウ』が開催された。日本経営協会、東京商工会議所が主催し、昭和24年から続く由緒正しい見本市である。今回で56回目となったのだが・・・・。
 出展者の多くはコンピューターソフトの会社が目立ち、ビジネス用ソフトウエアの展示が大半であった。昨今流行りのIT関連についての展示もあり、まずまずの内容である。しかし、会場には活気が無いのである。来場者は3日間で2万人を想定しているとのことであるが、それ程の人数とは思われず閑散としていた。出展者もキャンセルがあったようで、会場内には写真にあるように一部では空き地が目立っていた。
 かっては企業の事務部門の合理化のために、最先端の事務機器やパソコンが出展され、最新鋭の商品は新聞などで特別に報道されていた。会場内では人込みが溢れて活気があり、背広姿の来場者がカタログを入れた紙袋を持ち帰る姿があった。昭和40年代に晴海見本市会場で開催していた頃に比べると全く寂しい雰囲気である。
 どうしてこのように侘しくなったか、と考えると、『ビジネスショウ』が時代に合わなくなってきたのではなかろうか。戦後から昭和30年代までは、事務機器の総合見本市はこの『ビジネスショウ』しかなく、企業が新製品を発表する場が限られていた。だが、現在ではコンピューター、パソコン、ソフトウエアを専門に展示する見本市が各種開催されている。それらは極めて専門化されていて、分野は狭いが世界の最先端の技術だけが展示されるようになってきた。顧客の方も、広く汎用化された事務機器やソフトウエアであってはもの足らない。そもそも、汎用性のあるようなコンピューター関連の機器やソフトウエアは街の電気店に並んでいるし、インターネットで簡単に閲覧することができるのである。顧客が見本市で求めている事務機器やソフトウエアは、これから発表されるような商品か、一般には実物を見る機会が少ない特殊な商品なのである。
 かっては、国内の一流企業は競って出展していたのだが、現在は出展してもメリットが無くなり、出展者は中小のソフトハウスが目立っている。また、大手企業も出展しているが、昔からの付き合いで出展しているようで、説明員もやる気がなさそうである。
 『ビジネスショウ』の主催者は社会の変化に対応できす、栄光のあった昔の時代をそのまま引きずってダラダラと見本市を開催しているのではなかろうか。主催者は社団法人であり、半分官庁のような団体である。惰性で見本市を続けているのか、一種の既得権で続けているのか判らないが、そろそろここらで開催を中止するか民間団体に委譲すべきではなかろうか。なお、後援、協賛の団体は総務省を初めとして、多数の協議会などが名を連ねている。バックが多すぎて身動きがとれないのだろうか。そろそろ、このような政府外郭団体が主催する見本市は引き際ではなかろうか。
2005年5月18日