ださいたま、ではありません。技術埼玉でした。
本日はさいたま市で開催された「彩の国 ビジネスアリーナ」にでかけてきました。埼玉県で見本市が開催されていることを知ったのは最近のことで、面白そうなので見学することにしました。この見本市の主催者は「埼玉県中小企業振興公社」であり、一介の地方公共団体が主催してどんなことができるのか疑問でした。今までは東京ビッグサイトで開催されている中小企業向けの見本市だけに出掛けていたのですが、そこでは全国的に出店者を募ってもなかなか上手くいかないのを見てきました。このため、埼玉県が単独で主催してもたいしたことはできないのでは、という先入観があったのです。だが、今回、始めてビジネスアリーナにでかけてみて、埼玉県内の中小企業が活発であることに気がつきました。意外であったビジネスアリーナについての感想を少々詳しく説明します。
まず、交通の便ですが、JRの埼玉新都心駅で下車します。(都心という表現はおかしいのではないでしょうか。東京都であれば都心はありますが、埼玉県なので「県心」という表現が正しいはず。)新宿からこの駅までは赤羽駅で乗り換えて30分という近さです。新宿から東京ビッグサイトのある国際展示場駅にでかけるのとほぼ同じです。
会場は「さいたまスーパーアリーナ」であり、二段目の写真の中央に見える建物です。駅からこの建物までは歩いて3分程度。東京ビッグサイトは国際展示場駅から延々と10分以上も歩かされますが、それに比べたら極駅近なので便利です。こんなに足の便が良いところに会場があるのは珍しいでしょう。
三段目の写真はこの会場の入口で、ここから場内に入ると四段目のような場内の風景が一望することができます。このスーパーアリーナは、本来はコンサートやスポーツイベントに使用される目的のために設計されたものであるため、写真のように場内の周囲には観客席が配備されています。このため、入口から会場までには階段を降りていかなければならず、これが一番の欠点となっています。重い荷物を持った人や障害者にとって、この階段が厄介なものとなってくるからです。ここを工夫して欲しいものです。
会場内は今回640社が出店していて、昨年の産業交流展の出店者数770社に迫る数であり、地方都市での見本市としては参加規模の大きなものとなってました。この見本市は埼玉県の公共団体が主催していため、埼玉県に本社、支社、営業所を持つ企業が出店できる最優先の条件となります。しかし、埼玉県に関連することが出店には必ずしも条件とはしていないようで、会場費を払えば他県の企業であっても出店できるようです(ただし、有料ですが。)。このため、長野県や北海道などの企業の出店も見かけられました。その方が会場の活気が出て喜ばしいでしょう。地方都市で開催する見本市の最大の欠点は、出店者が地元企業に固定化され、毎回同じ顔ぶれとなることです。何時も同じ業者が同じ見本市に出店するとなると、来場者も飽きてきて活気が無くなります。
次に、この見本市の特色として、出店企業は製造業か加工業に限定していることです。つまり、単体の自社商品を展示するか、プレス、切削などの加工技術を持つ中小企業が受注のために出店していることです。テーマをモノ造りに特定できるので、出店者も来場者も内容が判って便利です。地方の見本市では、農作物や食品製造業も参加する場合があり、工業製品と食料品が隣り合わせのブースに並ぶ風景も見かけることがありますが、この会場ではそんなことはありません。
考えてみると、埼玉県は農業県ではなく工業県なのです。東京都とは荒川を挟んで北区や荒川区などの隣り合わせであり、都内の工場群がそのまま荒川を越して繋がっているのです。それから狭山市、和光市、所沢市などにも多数の中小企業が活動しているのであり、埼玉県が単独で中小企業向けの見本市を開催したとしても、出店者は十分に集めることができるのでした。これがビジネスアリーナに出店者が多いという理由です。
また、後で説明するのですが、会場内のブースに出店していた埼玉県の中小企業の中には、私がかって見かけたことのない優れた商品を出品していて、驚かされました。規模は小さいのですが優れた中小企業も見つけることができました。その理由としては、埼玉県内で活動しているだけで十分な利益が出るため、わざわざ都心の見本市にまで出店する意欲がないことがあげられます。このような利益が出ている中小企業がこの見本市に出店する理由は、ズバリ「県の公社とのつながり」だけで、しぶしぶ出店しているのでしょう。優れた商品・技術を持っているので、わざわざ宣伝して客を増やしたところで忙しくなるだけです。しかし、地方公共団体が開催するこの見本市では、日頃の付き合いで出店せざるを得なかった、というのが真相でしょうか。
このように、ビジネスアリーナでは東京都心からの交通の便が良く、出店者も地元の優れた中小企業が多くていいことだらけなのです。だが、一番の欠点は知名度が低すぎて来場者が少ないことなのです。五段目にある写真は会場内の風景なのですが、来場者はパラパラといったところで、推定で一日の来場者数は3、4千人でしょうか。これだけ特徴のある見本市なので、埼玉県、埼玉県中小企業振興公社はもっと宣伝して集客すべきです。来年はもう少し盛大になることを期待しています。
2011年1月28日