出店者の内容が以前とは変わってきたような気がします。
中小企業基盤整備機構が主催する「新価値創造展2022年」に3年振りに出掛けてきました。「産業交流展」と同じように、この展示会はコロナ禍により2020年はリアルの展示会は中止となり、バーチャルのネットによる展示会でした。次の2021年ではリアルとバーチャルの双方で開催されましたが、私はコロナに感染するのが怖くて参加しませんでした。本年になって、3年振りに出掛けました。出掛けた理由は、中小企業を専門とするのが「産業交流展」と「彩の国ビジネスアリーナ」とこの展示会しかないためです。中小企業の現状を把握するためには、やはりリアルの展示会にでかけなければなりません。この展示会は、以前は「中小企業総合展」とタイトルしていましたが、どのような理由で名称が変わったのか判りません。マンネリを避けるために会場名を変えたのかもしれません。
この展示会の各年度の出店者と来場者は次のようになります。
出店者 リアル参加者 バーチャル登録者
2016年 582社 11,207人
2017年 618社 12,432人
2018年 674社 12,422人
2019年 375社 8,963
2020年 320社 6,701人
2021年 313社 8,167人
2022年 315社 9,188人
こうして比較すると、出店者数、来場者数は減少しており、以前のような勢いは見られません。最盛期には東館の3ホールを借り切って開催していたのですが、今年は1ホールだけとなって狭くなりました。
また、今まで出店者の企業を紹介するガイドブックも配付されていたのですが、今年は二段目の写真にあるように、会場地図1枚だけでした。ガイドブックには出店者の住所、電話番号、業務内容が掲載されているため、後日になって参考にすることができて便利なものです。予算の関係で発行を見合わせたかもしれませんが、来年は必ず発行して頂きたいものです。
さて、会場内に入ると来場者の姿が薄く、全く活気が見られませんでした。とにかく来場者が少ないのです。通路が広く感じられるほどです。その原因は出店者が受注産業に集中しているから、と思われました。出店者の業種は、機械加工、電子機器、表面加工、ソフトウエアなど広い範囲なのですが、多くは下請け企業なのです。つまり、ブースを借りて自社の技術をアッピールした試作品を並べ、加工、製作の業務を受託する商談をしたい企業が目立つのです。すると、来場者は仕事を発注する元請けに限られてきます。これでは出店者のブースでは、何とか仕事を回してくれるような発注者と出会いたいな、という雰囲気ばかりになってしまっています。
何か面白い商品はないだろうか、と会場をブラブラと歩くような楽しみは薄いのです。この雰囲気が来場者が減少していった原因ではないかと推測されました。
四段目の写真は金属管を曲げる技術に特化した企業のブースであり、五段目の写真は大小さまざまなバネを製作する企業のブースです。これらの企業が悪いというのではなく、それぞれ一流の技術を蓄えているのですが、発注先と下請けの商談であっては技術力と価格だけで終わってしまい会話も短いでしょう。しかし、開催中の3日間で1社だけでも下請け仕事の商談がまとまれば、それが成果となっていいのかもしれません。
六段目の写真は、ビッグサイトのロビーを撮影したものです。小さな机と椅子が等間隔に並べられ、皆さんパソコンで仕事をされていました。ここでは無料Wifiがつながり、メールの送受信ができるため会社や顧客にメールを送信しているのでしょうか。それとも見本市の見学を兼ねて、自宅で行うリモートワークをここで済ませているのでしょうか。何だか、将来はこのような働き方になるような予感がします。
2022年12月29日