香港で唯一の国際見本市会場です。
建物の外観は小さいように見えるのですが、上下に階層で分けられていて、相当な広さがありました。
香港で開催されている宝飾関係の見本市にでかけてみた。正式な名称は『香港珠寶鍾錶展覧會』となっていて、宝石、宝飾、時計を展示するものである。見本市のサブタイトルには『アジアで最大の宝石、貴金属の展覧会』とあり、世界第二の規模と内容を誇っているとのこと。すると、第一はどこかと考えるとニューヨークであり、次が香港なのであろう。
主催者によれば、131ヵ国からの来場者が4万人、47ヵ国からの出展者が二千三百社、展示場の広さが7万平方メートルと発表している。日本でも例年1月に国内最大の宝飾展が開催されていて、来場者が3万4千人、出展者が千三百社、展示場の広さが5万平方メートルと発表されている。この数字を比較するだけであればそれ程大きな差は無いと思われるが、実態は大きな格差がある。両者を見学され方ならば、実感として日本と香港の宝飾の展示会は大人と子供、或いは月とスッポンの違いを体感されるのではなかろうか。
日本と香港の展示会の大きな差では、出展者の数と出品数の豊富さにある。香港では、宝飾品に関するありとあらゆる企業が出展している。宝石の加工機械、宝飾品のパッケージ用品、宝石の鑑定機械などの、宝飾品の周辺産業の企業が数多く出展していることである。日本の宝飾業界には進出していない欧州の加工機械メーカーも数多く出展していて、国内では入手できないような道具や機械も見かけられた。ここの展示会に資金を持って行けば、宝飾店や宝石加工業を始めるための道具や用品が全て揃えることが可能なのである。次に、香港では宝飾品の階層が広いことが特徴である。上は億円単位の宝石から、下は計り売りしている加工していない原石のような安価な宝玉まで幅広い商品の選択ができる。日本の展示会では、ワゴンセールで販売されるようなゴミのように安価な宝玉は出品されていないが、極端に高額な宝石も出品されてない。いわば、中産階級を相手にしたような宝飾品が大半を占めている。ここが大きな違いであろう。
このように日本と香港の宝飾の展示会の性格が大きく違っているのは、民族的な嗜好と宝飾についての歴史の相違であろう。東南アジアでは宝石、貴金属を財産として購入し、いざとなったらそれを持って国外に逃げ出すことができるように準備することが昔からの習慣であった。また、日本での宝飾の歴史からすれば、江戸時代では真珠や珊瑚などの限られた宝玉しかなく、海外のように幅広い宝玉を身につけることがなかったからでもあろう。さらに言及すれば、日本では中産階級が多く、高価な宝飾品を購入できる収入層が少ないことが根本的な原因はなかろうか。東南アジアの各国では国は貧しいが、巨額な資産を保有している裕福層も結構多いのである。これらの大金持ちは日本の個人資産家に比べて数倍、いや数桁も多い資産を持っているのである。このような超資産家が香港の宝飾展示会を支えているのではなかろうか。
上段の写真は展示会場となっている『香港會議展覧中心』である。日本では『東京ビッグサイト』に相当するのであろう。香港という土地の狭い環境から、敷地面積は狭いのであるが、上下に5階層に展示場が分けられている。その狭い会場内を更に狭くブースを仕切ってあるため、会場内は迷路のようになっていた。全てを見て歩くには1日では足らず、2~3日はかかるのではなかろうか。
下段の写真は会場の入口付近である。ここはホールであることから広々として見えるが、ブースが並ぶ展示場では購入しようとする人で混雑していた。日本の宝飾展では人出が少なくて閑散としているが、ここでは各国から買い付けに来た業者で活気に溢れていた。
2005年9月27日