知識はタダではありません。
女性社長の悪い癖に、知識に対価を払わないことがある。
一応、私は特許事務所の看板を掲げて仕事をしているので、いろんな社長達と出会うことが多い。知人からの紹介された人、私の講演を聴取して知った人、各種のパーティで名刺を交換した人、私の著作を読まれて連絡してきた人など、各種様々なキッカケがある。そのようにして出会った人達の中には女性社長も結構多い。だが、私は社長が女性である場合には、体を半分構えて会話することが多い。つまり、女性社長の会話に乗り込まれないように、用心しながら話をするのである。
女性社長と名刺を交換すると、後日になって相談の電話がかかってくることが多い。たった一回会っただけなのであるが、いとも気安く電話してくるようだ。しかも慣れ慣れしく。そういった女性社長からの電話では、特許や商標について会社で困っている問題や疑問を相談される。或いは、これから発表する新製品について、評価や法律的な解決策などを質問されることもある。そんな時、私は適当な返事をし、なるべく確信的な判断をしないようにしている。過去の体験から、女性社長からの相談では、大半が『私のただ働き』になっていたからである。気安く電話して相談するが、答えを聞くとそれっきりであった。
私は弁理士であり、特許・商標についての専門知識を持っているが、これは私の商品なのである。専門知識は、国家資格を取得してからも、研修して積み重ねてきたものであり、汗の成果である。商品である私の知識や判断を、女性社長は無料で入手したいのである。いわば、飲み屋に入って、酒をタダで飲ませてくれ、と言っているのと同じである。女性社長にはそれが判らないのであろう。一度会っただけなのに、竹馬の友のような馴れ馴れしい喋り方で電話してくるのには内心腹が立つ。今までの体験で一番図々しかった女性社長では、会社まで呼び出し、そこで2時間ほど特許について説明させられた。私の説明が終わったなら、その女性社長は『もう用は無いから帰って欲しい』といような素振りとなった。利用するだけ利用したなら、それでお終いだったのだ。
女性社長が知識に対価を払わない理由について分析すると、その一つは、形の無い物には金銭を支払いたくない、という女性独特の心理があるのではなかろうか。また、子供の時から知人や親を頼ってきた生きかたをしているため、『知り合いなのだから助けてくれるのは当然ではないか』という感情があるのではなかろうか。女性同志の助け合って(表面上だけだが)いく精神をそのまま実社会に通用させているのであろう。
全ての女性社長がそうであった、とは言わない。飲食店経営者、パーマ屋経営者などのように、お客商売をしている女性はそれなりの気の使い方をしてくれることが多かった。前述のような厚かましい女性社長の名刺を見ると、『コンサルタント』『料理評論家』『企画会社』『広告会社』といった職種が多かったような気がする。いずれも資本をかけず、気楽に開業できるような軽薄な仕事ではなかろうか。男女雇用均等法も制定されたことである。女性社長も知識に対価を払う習慣を身につけて欲しいものだ。
2005年2月19日