製造業における性別

製造業には女性社長の進出が少ない。
女性特有の性癖によるものだと思われるが。


 私の関心がある中小零細企業は『モノ造り』をしている企業である。農林水産業の第一次産業や飲食業・サービス業の第三次産業であっても、活気があって面白い企業が多い。しかし、取材先の窓口を広げても目的がぼやけ、正確な分析はできない。私は『モノを生産、企画する製造業』のみを調査、取材、分析の対象とし、それ以外には関心を持たないようにしている。また、企業規模は従業員が50名以下であり、特に数名で経営している家内工業的な企業に執心している。『そんなに狭い分野だけを研究すると、視野が狭くなり、大きな成果が得られないのでは。』と危惧する人もいる。しかし、極端に狭い分野での研究であるからこそ、深く掘り下げて鋭い分析ができるのである。広い範囲の取材では、知識や情報が豊富になると思われるのだが、全てに浅い調査と分析しかできないのである。人生は短いのであり、あれもこれも、といった欲張った研究はできない。私一人でする研究では、この程度まで絞り込まないと成果が得られないと確信している。
 さて、そんな調査と取材を続けているうちに、企業主の性別により関係する分野が大きく違っていることに気がついた。『モノ造り』の企業では女性が極めて少ないのである。モノ造りでは男性ばかりであり、女性の進出が珍しいのである。あなたの周りを見渡していただければ判るのだが、製造業や修理業では女性社長は殆ど見かけられないはずである。
 この原因を考えてみたら、女性の性格の特質によるものではないかと思われる。すなわち、女性は『損をすること』を極端に嫌がる性癖がある。有史以来、女性は家庭を守り、子孫を残すことに大きな使命を与えられてきた。どちらかと言えば、進歩的というより保守的な性質といえるのではなかろうか。ところが、新商品を企画して製造する、という行為は必ずしも成功することもなく、失敗してしまうこともある。投資した資金が無くなるか、少なくなる可能性があるのが製造業である。こんなことから、女性は製造業に乗り出すことを嫌がるのではなかろか。また、鉄工所や造船所のように、危険で重量物を取り扱うような作業には肉体的に女性が向いていないことも一因ではなかろうか。しかし、近年では、コンピューター部品や精密機器などのように、体力を使わずに製造できる商品もあることから、やっぱり、女性は投資をすることに非常な嫌悪感を持っているのではなかろうか。女性が進出している製造業では、衣服やハンドバッグなどの日常生活用品の分野がある。これらは製造業というより、むしろデザイナーという第三次産業にちかいものであり、純然たる製造業への女性社長の進出は極めて少ないと判断される。
 では、女性が企業主として進出している業界は何か、と言えば、それは『絶対に損をしない業界』といえる。それらは、例えば、保険代理店、英会話教室、通訳・翻訳業、マッサージ業などの特定の業種に集中している。これらの業務に共通していえることは、『事業に失敗しても大きな損が出ない』ことである。日銭が稼げて、最悪の場合の損でも自己の時間を浪費しただけで金銭的な損害が出にくい業態といえる。
 たまに、製造業で女性社長である方を見かけることもある。それらは、父親か亭主の事業を引き継いで経営していることが殆どであった。自ら製造業を立ち上げ、運営されている女性社長とは出会ったことがなかった、といのが私の体験である。
 私の見解は、女性差別、ということでは決してない。職種の選択が性別によって大きく影響される、という一例である。