ニッチ企業として成功するのは大変な困難さがあるようだ。
だが、参加しなければ成功はしない。
かってニッチ企業として取材したことのある社長と再会した。その社長は、『隙間商品を見つけてそれを育て、販売を軌道に乗せるのは大変だった。隙間商品を専業にするニッチ企業になるのは宝くじで1等に当たるような難しさがある。これからニッチ企業を目指す方には失礼だが、あまり確率のよいものではないので、隙間商品を開発するのはお勧めしません。』といった意味のことを言われた。
なるほど、社長の仰るとおりニッチ企業として成功するのは難しい。この社長の会社は隙間商品として市場をほぼ独占しており、ニッチ企業としてはトップクラスである。中小企業としては大成功した分類に属することは間違いない。しかし、そこに至までには、社長の並大抵の努力だけではたらず、運や環境にも大きく左右されている。このため、社長が『ニッチ企業になるのは宝くじを当てる位に難しいよ』と仰るのは説得力がある。すでに社長自身が体験されてきたことであるから、説得力もある。
なるほど、宝くじの1等に当選する確率は三百万分の一か五百万分の一であり、当選するのは至難のわざである。しかし、宝くじには千万円の2等賞や百万円の3等賞もある。うまくいけば、ダブルチャンスで残念賞の五十万円もあるではないか。宝くじであっても大当たりと小当たりがあるのだ。ニッチ企業であっても大成功と小成功があってもおかしくはないはず。
ニッチ企業で大成功した社長が、『宝くじのように難しいので、後輩の人が参入するのはお止しなさい』と説明するのも一理ある。だが、難しさがあっても中小零細企業が下請けや将来性の無い現状を脱却するには、何らかの行動を起こさなければ解決できない。その脱出策の一つがニッチ企業を目指すことである、私は力説してきた。宝くじも買わなければ、いつまで経っても当たらない。大成功しないかもしれないが、ニッチ企業を目指さなければいつまで経っても現状のままである。世間から評価を受ければ、2等賞、3等賞かもしれないが、それでも何も行動しないよりは成功に近づくのである。
失敗を恐れずに、自己資金と現在の能力を活用し、できる範囲からニッチ企業を目指さなければ何も変わらないのではなかろうか。
2005年3月8日