マイナーな中小零細企業向けの見本市です。
泥臭いところが面白いのです。
一般にはあまり知られていないが、中小企業だけを出店対象とした「東京ビジネスサミット」という見本市が年一回開催されている。「中小企業」という企業規模だけを共通項にした参加資格であり、それ以外は何の制約も無いのが特徴である。主催しているのはベンチャーリンクという民間のコンサルタント会社である。言わば、中小企業総合展が官庁主導であるのに対し、こちらは民間主導による中小企業向けの見本市と言える。但し、中小企業総合展が製造業を出店対象とし、出店資格の審査は各県庁の担当者が行っている。東京ビジネスサミットではそのような規制は無く、マルチ商法やいかがわしい商品でなければ何でも構わない。このため、農産物の出店者の横に電気製品の出店者が並んだり、お酒を出店しているブースの横で健康茶を出店しているブースが並んだりするちぐはぐなものがある。しかし、何でもある、ということから、何が出ているか判らない、という探す楽しみがある。大企業ばかりで華やかさはあるが、会場が何か冷たい雰囲気の見本市とは違った面白さがあった。商店街のような賑わいと、路地裏を歩くような不完全さの見本市にも出掛けてみませんか。
この見本市の特色は出店料が安いことである。1ブースを2日間借りて12万円程度であり、一般的な見本市では35万円もするから半分以下である。その代わり、ブースの面積が狭く、通路も狭いのが欠点である。この見本市では1ブースは2×2メートルであるが、標準のブースでは3×3メートルである。2段目の写真はブースの奥行きを示しているが、少し狭い。しかし、出品品目が少ない中小企業ではこの程度で十分ではなかろうか。出店料を安くすることで、地方の零細企業でも気軽に出店できるはず。
また、出店には制限がないため個人商店が独自に出店することもできる。だが、出店者の多くは地方都市ごとにまとまって出店している。これは地方にある信用金庫や地方銀行がそれぞれビジネスクラブを持っていて、そのクラブの会員を取りまとめて集団で出店しているからだ。3段目の写真は静岡の信用金庫が音頭をとって、地元の中小企業を両側のブースに出店させていた。4段目の福井の信用金庫のクラブ会員が出店したものである。地方物産展のような雰囲気であるが、地元の特産品を全国に販売しようと熱心であった。通路が狭いのでアメ横のような感じがしたが、これはこれで人込みを歩くような感じて楽しい雰囲気であった。政府や中小企業庁では地方の活性化を叫んでいるが、そのためには全国の主要都市でこのような活気のある見本市を進めるべきではなかろうか。
2005年11月12日