下請けと元請けがお互いを探すための見本市です。
地方団体の出店が増えてきましたが、はたして。
少し特殊な見本市ですが、『機械要素技術展』に出掛けてきました。この見本市は商品を販売するのではなく、機械についての加工技術や製造技術を持った企業がその技術能力を発表しています。また、完成品ではなく、ネジ、バネやモーターなどの部品を製造している専業のメーカーが出店しています。つまり、この見本市ではテレビ、冷蔵庫といった完成品のメーカーは出店しておらず、といって、食品や衣類のような一般消費財のメーカーも出店していません。
出店しているのはプレスや切削などの加工や製造の技術を持った中小企業か、大企業向けに部品を製造しているメーカーに限られます。来場者は、特定の技術を持った下請け企業を探している大中の企業や、新しい部品を購入したい企業だけとなります。つまり、出店する側も来場する側も何れも機械工場を持ち、足らない技術を補ってくれる下請けや協力会社を探すための見本市と言っていいでしょう。外注先としての下請け企業と発注先としての元請け企業がお互いに商談をする場です。
今回の見本市(私は2年ほどお休みしていたので前回、前々回は知りません)での特徴は、地方自治体が地元の企業を率いて一括して出店していることです。主な自治体は次のようになりました。
大田区産業振興協会
東京都中小企業振興公社
坂城町出品者協会
しまね産業振興財団
かがわ産業支援財団
茨城ものづくり産業活性化プロジェクト
共同受注グループラッシュすみだ
下諏訪町工業振興協議会
高崎市中小企業振興協議会
いわて産業振興センター
テクノタウンみのわ
いいものあるね岡谷
京都産業21
新潟県県央地域地場産業振興センター
岡山県産業振興財団
やまぐち産業振興財団
諏訪市新規販路開拓研究会
とくしま産業振興機構
安曇野市内商工会
柏崎技術開発振興協会
にいがた産業創造機構
NESUC-IIDA(飯田市)
上越市
長岡産業活性化協議会
中国地域ニュービジネス協議会
埼玉県中小企業振興公社
これらの地方自治体、地域公益法人などがそれぞれブースを借り、そのブースを細分化して地元の中小企業にスペースを貸すことになります。地方の中小企業が東京にまで乗り込み、全国の企業と商談して仕事を増やすことは地域活性化になって良いことです。しかし、こんなに多くの地方自治体や地方公益法人が同じようにブースを借り出すのはいいことなのか少し疑問になります。地方自治体や地方公益法人がこの見本市に支払われるブース代は元は税金なのです。東京での商談により地方の活性化を図り、地方に仕事を回すだけのために税金を使ってどの程度の効果があるか疑問でしょう。これだけ多くの地方自治体や地方公益法人が、民間企業が運営する見本市(この会場の運営は営利を目的とした企業が主催している)に税金を投下するのであれば、いっそのこと、全国の地方自治体が主催者となって、独自の見本市を開催されては如何でしょうか。全国からありとあらゆる中小企業が出店したとなればそれはそれで面白いのではないでしょうか。
四段目の写真の出店者には驚かされました。『下請けに自信があります』と大きく看板を掲げていました。私個人の信条は『下請けやめてニッチをめざせ』なのですが、この企業は『下請けで十分です。技術には自信があります。』とアッピールしていて、私とは正反対の行動でした。下請けであっても技術力があって、それなりの利益を計上できるのであれば下請けで満足するのも一つの方針かもしれません。
2006年6月26日