ニッチ企業についての論文。

私の著書を引用した論文が増えてきました。
ありがたいことなのですが、それよりも実地の調査をお願いします。


 拙著「下請けやめてニッチをめざせ」は発売以来4年を経過しましたが、今もポツポツと売れています。現在四刷で、年内には五刷を目指しています。ニッチ企業をまとめて特集した書籍はどうも存在しないようで、ニッチ企業について書かれた資料・書籍には必ずと言っていいほど拙著が引用されております。零細企業であっても市場を独占できるのは隙間商品である、という私の理論が世間で認知されてきたようで、有り難いことです。
 最近発見した論文に、「中小企業のビジネスモデル策定に関する調査研究」があります。この論文は東洋学園大学の4人に教官による共同研究で、下請け企業から独立型商品供給企業への変換を図った企業の研究です。論文の前半には私の著作の要旨をまとめてあり、ニッチ企業の特徴などが掲載されてます。また、アンケート分析による下請け脱皮型企業の特徴などが解析されており、企業の動向が判りやすく解説してあります。
 http://www.tyg.jp/tgu/school_guidance/bulletin/K14/images/kyoudou.pdf
 大変良く研究されているのですが、注意深く読んでみると大学の研究者らしく研究室の机の上での学問なのです。複数の資料を集め、それらを比較したり分解したりして組み立ててあるのです。実際に市場に出向いて調査したり、聴き取り調査したものではありません。私が一冊の単行本をまとめるために、三年間あちこちの企業に出向き、経営者から聴き取りを行ってきました。取材費は限られていたため、飲まず食わずの取材旅行であり、悲惨なものでした。血の滲むような取材の結果をまとめてできたのがこの本なのです。
 しかし、大学の研究では現地調査や技術調査も行わず、他人の論文を切り貼りしたようなまとめ方でした。「まとめ方にも努力がある」、と言えばそれまでなのですが、これでは論文を読んでいても深みも面白さもありません。私は、研究者の方に言いたい。他人が汗を流して努力した書籍をそのまま集めるだけの論文はお止めになって下さい。そんな論文が沢山できても中小零細企業の繁栄にはなりません。
2006年5月12日