介護の世界には新商品が現れます。
本当に売れるかどうか疑問となりますが。
福祉機器展には毎年のように新製品が出品されてます。しかし、一見しただけで不可思議な(つまり、売れそうにもない)商品が出品されているのを見かけます。新製品を案出する努力も必要なのですが、はたして市場で必要とされている商品かどうかも考慮すべきではないでしょうか。
一段目の写真は畳を持ち上げることのできる装置だそうで、写真の状態が畳が最大に上昇した位置で、下降させると他の畳の高さに収納できるものです。なんだか、時代劇に出てくる忍者屋敷の畳みたいです。この装置では、畳の上で介護を受けたい老人のために製作されたもので、要介護者が寝ている畳を持ち上げて介護できるようにしたとのことでした。しかし、本来、畳は部屋の中に敷きつめられているので役に立つものです。一枚の畳を持ち上げるとその周囲は他の畳と擦れることになります。また、畳は床の根太の薄い板に載せられているので、このような機械を載せることができるかどうか問題となります。また、介護する人達にとっては、このように畳敷きの部屋の中で、畳が持ち上がったところでも別に便利ではありません。老人介護では身体の沐浴や排泄物の処理などがあり、水分を吸いやすい畳の上でこのような作業をするとなれば、介護する人にとっては大きな負担となるのではないでしょうか。発想はユニークなのですが、介護する人達の利便性は考えられなかったようでした。
二段目の写真は、車椅子に取り付けて三輪車にするアダプターです。車椅子の前に取り付けて、ハンドルを操作しながら前輪を回すことで、要介護者が自力で移動でき、脚力の増強になるのだそうです。しかし、本来車椅子を使用しなければならない要介護者では、脚力がないために車椅子に座るのです。脚力を訓練するためには別途専用のリハビリ用品があるため、それを使った方が便利です。また、要介護者が子供の三輪車のような道具を喜んで使う、とは思われません。一見すると、車椅子にもリハビリ用品にもなる便利なものと思われるのですが、実際には使われることは少ないでしょう。
2006年9月30日