台湾の中小企業の実力は進んでいるようです。

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軽工業の分野では日本の中小企業追いつけなくなったのでしょうか。
国際化を図らないと他の産業分野でも追い抜かれそうです。


 台湾の自転車メーカー(完成品、部品を問わず)を観察していると、台湾は自転車では技術力、企画力において日本より先進国になったんではないか、と考え込んでしましました。日本の自転車メーカーではできないような実験的な商品や新商品が開発され、その開発速度が早いのです。台湾の自転車メーカーといっても、日本と同様に中小企業が殆どなのであるが研究開発には力を入れていて、相当な実力があると読めた。
 この理由の一つに、「国際化」があると思われる。前述したように、台湾の自転車の輸出は全世界であり、国際的な戦略商品になっている。このため、製造は台湾で行っているのだが、商品企画や技術は海外から盛んに導入していて、それが自然な形で行われているようだ。自転車メーカー自体は台湾資本で、台湾人が運営しているのだが、新商品の企画やアイデアは海外の自転車先進国から導入しているようだ。例えば、自転車競技が盛んなフランスからは最新の技術が導入され、アイデアが個性的であるアメリカからは奇抜な構造のアイデアが導入されているようだ。それにより、最新技術の高級自転車が生産され、或いは、今までには無い全く新しい自転車が生産されていくようになったらしい。
 ブースを見ると、アイデアはアメリカ人であるが生産は台湾の提携先メーカーで行われた自転車を見かけることができる。また、自転車競技用の高度なスポーツ車を展示してあるブースでは、フランス人や欧米人が企画したのではないかと思われる痕跡がある。台湾では、単に下請けというだけではなく、欧米の自転車先進国からのアイデアや知恵を取り込み、どんどん進化しているように思われる。
 こうなると、自転車のような軽工業であっても日本の中小企業では追いつけないような企画力、技術力を台湾の中小企業が身につけてしまったようだ。台湾のメーカーが海外からの情報を素早く吸収し、欧米の実力ある企業(販売会社であったり、アイデアだけの企画会社であったりするが)と接触できる体制には驚かされる。資源が無く、輸出に頼らなければ成り立たない小さな国であることからこのような社会構造になったのかもしれない。日本の中小企業も国際化を早急にしなければならなくなってきている。
 日本では自動車、IT関連などの先端技術のメーカーは世界で独走しているのだが、軽工業の技術、企画の向上はあまり重要視されていないようだ。だが、自転車を例にしても、台湾の実力が日本を抜いてきており、日本のメーカーでは及びもしない領域になってしまったようだ。他の軽工業であっても似たようなことになり、日本の中小企業が台湾、中国の中小企業の後塵を拝することになりかねなくなるかもしれない。台湾の見本市を見学してみて、考えさせられることになった。
 一段目の写真は微細な模様を施した自転車フレームである。細かな紋様が綺麗に焼き付けられていた。実用的ではないが、このような芸術的なフレームもできます、というデモンストレーションであろう。
 二段目、三段目の写真はチタン製のフレームである。チタンを応用した自転車部品は珍しくは無いが、このフレームは全体を溶接して軽量化を狙っている。また、チタンと炭素繊維を組み合わせたさらに軽量化したフレームも展示されていた。三段目の写真はそのフレームを使った完成車である。
 四段目、五段目、六段目は新型の後一輪前四輪の自転車である。この構造であればどんなに凹凸のある場所でも走行できる、とのこと。アイデアはオーストラリア人なのであるが、量産は台湾メーカーが受け持ったらしい。爆発的に売れるかそれとも一過性で終わってしまうか判らないが、このような実験的な商品を製造してしまうのが凄いところである。
2007年4月22日