ユニークな三輪自転車なのですが

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共同で開発したのですが。


 会場の一角に展示されていて、来場者の目を引いていた商品にの電動自転車がありました。川口の中小企業の交流会が完成させたもので、前輪が2つ、後輪が1つの三輪車です。バッテリーで駆動されるものであり、前側に子供2人が一列に座ることができる座席が設置されてます。自転車に子供2人を乗車させても良いか、という道路交通法の問題をクリアーさせようとするものです。この構造であれば、子供2人を乗せても転倒することなく安全に運転することができます。しかも電動なので体力が要りません。子供2人を育児中の主婦にとっては理想的な自転車となります。デザインは優れていて、このまま道路を走れば誰もが目にするでしょう。
 だが、この自転車には問題があります。電動自転車なので陸運局のナンバーを取得しないと公道を走行できません。すると運転免許が必要となり、原付バイクと同じ扱いとなって気楽に使えなくなります。また、ホイールベースが極端に長いので小回りがきかず、狭い道路では使い難いものとなります。そして、このような子供を乗せる自転車では、子供が幼児の時の数年以下の期間だけしか使いません。すると、数年の間の使用で十万円以上(実際にはもっと高くなるはずだが)もする三輪自転車を購入する家庭はそんなに多くないと思われます。ここまでまとめ上げた努力には感心しますが、多分売れないでしょう。
 この自転車の開発(試作)には数百万円以上の費用がかかっているはずです(二千万円も掛かったのではないか、という噂もあるのですが)。それだけの費用をかけて、売れないような商品を開発したのは何が原因かを考察してみました。
 まず、複数の地場の中小企業(9社)が共同で開発したので、各社の意見の中で最大公約数となった平均的な企画に収束されたのではないかと考えられます。誰でも関心を持つ自転車に開発の目標が決まったのでしょう。また、昨年より自転車に子供を2人乗りさせることが禁止され、その解決策のための自転車を開発することが時流に会っていると判断されたのではないでしょうか。既に数社からは子供2人乗りの自転車が発表されていて、実際に販売されています。このブームに合わせれば注目を浴びるのではないかと考えたかもしれません。
 この試作品はそのデザインのユニークさ、奇抜さは従来品とは比較にならないレベルの高いものです。しかし、売れないような商品を開発するのは資金と時間の無駄となります。オリジナルのあふれた商品は中小企業の得意技なのですが、売れなくてはどうしようもありません。次の試作ではブームに乗らずに、売れる商品の開発を期待しています。
2008年12月2日