ソフト開発の会社が考えました。

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システムだけでは機能しません。
実際には人手をかけなければ効果が出ないでしょう。


 マネキンの首に何やらカードがぶら下げてありますが、これは痴呆老人などが迷子になった場合の迷子札なんだそうです。カードにはQRコードが印刷してあり、QRコードを携帯電話のカメラで読み取ると、自動的にその迷子となった老人の自宅に電話がかかるようになってます。つまり、カードに老人の自宅の電話番号を印刷しておくと、第三者がその電話番号を読みとるためにプライバシーが守れないので、自宅の電話番号をQRコードによって印刷しておこうというものです。QRコードでは自宅の電話番号が読み取れないため、老人のプライバシーが守れることになります。これなら道に迷った老人でも、自宅の電話番号を知られずにどこにいるかを報告することができ便利なはずです。
 だが、一見すると便利そうなシステムなのですが、このシステムが円滑に活用されるには次のような手順が必要となります。
 ① 道に迷った徘徊老人を見つけて、その老人を保護しようという親切な人がいる。
 ② その親切な人が携帯電話を持っている。
 ③ その携帯電話にはQRコードの読み取り機能が付いている。
 ④ 親切な人がカードのQRコードを携帯電話で読み取ることで、老人の自宅に電話することができるというシステムを理解している。
 このような条件が一つでも欠けるとこのシステムは機能しません。携帯電話は普及しているのですが、QRコードの読み取り機能を活用している人はどれほどみえるのでしょうか。それほど多いとは思われません。実際にこのシステムを運用しても、迷子老人の自宅発見に繋がるとは思われません。また、カードを所持している老人の電話番号は判りませんが、QRコードを利用すれば番号は判らなくとも自宅には電話がかけられることになるので、脅迫やゆすりはできてしまいます。アイデアだけの失敗作と考えました。
 私なら、カードに24時間営業のコールセンターの電話番号を印刷し、その老人に固有のID番号を印刷します。親切な人がそのコールセンターを呼び出してID番号を伝えれば、コールセンターで照合することでその老人が誰であるかが判別できます。自宅にはコールセンターから呼び出せばいいことになります。このような自動的なシステムは、どちらかというとソフト開発の会社が発想することが多いようです。全てをコンピューターで制御すればうまくいく、というのはコンピューターに頼りすぎたアイデアであって、実際の社会では役立たないことが多いのです。
2008年12月2日