下請け、孫請けを狙う中小企業が並んでます。

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航空宇宙産業はこれからです。
現場では試行錯誤の戸惑いが見かけられました。


 国内初の航空宇宙産業展なので、当然のように三菱重工業、三菱飛行機、富士重工業、川崎重工業のように、ロケット、飛行機、ヘリコプターなどを製造しているメーカーは出店しています。だが、会場の大部分の面積のブースは一段目、二段目の写真にあるような部品加工の中小企業で占められていました。その中小企業の所在地を見ると、新潟県、秋田県、京都府、山口県、長野県などの広い範囲に散らばっています。航空機の製造では精密に加工された細かな部品が数十万点も必要とされる特殊な業界です。部品の切削、曲げ、接合などの加工では高度な技術が必要とされますが、大量に生産するまでもないものです。つまり、単価が高く、少量多品種生産の産業であり、それらを製造するには中小企業が最適なのです。一つの航空機を製造するとなれば、その部品の下請け、孫請けが放射状に広がり、これからの日本の産業育成には申し分の無いものとなります。
 今回の航空宇宙産業展では、これから日本の産業構造を転換させ、自動車や家電のような大量生産とは違う分野の産業育成のために開催されたものです。その音頭を取ったのが東京都であり、発案者は石原都知事ではないかと憶測されます。この見本市の主催者は東京都なので地元首都圏の中小企業に向けたものではないか、と限定されるかもしれませんが、実際には全国に航空宇宙産業のすそ野を広める意義があるようです。このため、会場内には地方の産業振興財団や地場産業センターなども多数見かけられ、なんとか地方であっても航空機、ロケットについての仕事を受注したいと意気込んでいました。政府と東京都による新分野の産業振興政策の転換方針と、それにより新たな仕事を獲得していきたいという地方公共団体と地方の中小企業の思惑が交錯しているようです。
 そんな熱気のある会場なのですが、三段目の写真ではリモコンヘリコプターの模型を出品しているブースがあり、模型と航空宇宙産業とがどのように結びつけられるのか不明です。まあ、幼児、学生に向けて航空宇宙産業に関心を持って欲しい、という情緒教育にはなるかもしれません。
 四段目の写真では、廃油によるストーブを展示しているブースでした。この商品と航空宇宙産業とはミスマッチではないかと思われ、場違いな感じを受けるのですが。どうも、地方の産業振興財団がその地方にある中小企業に出品を呼びかけたのですが、出品数が足らず、このような商品でも出しておくことになったのでしょうか。まあ、「航空宇宙産業に関係する工場内での暖房のためにこのストーブを使用すれば作業効率が良くなる」、という無理な結び付けで出品したのかもしれません。
2009年12月5日