老人向けのサービスは専業化しているのです。









介護はしてもらえるのですが、内容まではどうでしょうか。

サ付き住宅では、老人が日常生活を送るため、雨露をしのぐための建物が必要となり、建物が準備できたなら三度の食事が必要となります。老人だからといって、日に三度の食事を二度に減らすわけにはいきません。毎日三度の食事を提供するとなると、サ付き住宅の運営者にとっては負担が大きいものです。調理室を揃え、調理人を雇うとなれば、経費が多くなります。そこで、サ付き住宅専門の給食会社が発生し、調理した食事を毎日配達してくれるようになりました。住宅の管理と運営はサ付き住宅が、食事の手配は給食会社がそれぞれ分担することで、人件費を安くしようとするものです。
一段目の写真は、老人の体力に合わせた調理を各種提供できる給食会社で、食材を細かくしたミキサー食や柔らかく煮込んだソフト食などを配送しています。三段目の写真は、比較的量の多い給食に対応できる会社で、一食250円で提供できるとのことでした(ご飯、みそ汁は別)。なお、一段目から三段目の給食会社では、食事は全て冷凍であり、サ付き住宅では電子レンジで温めるだけでした。その逆が四段目の写真で、こちらはなるべく住宅の近くで手作りの料理を提供しよう、という趣旨の給食会社でした。高級路線をねらっているのでしょうが、当然、食費は他社と比べて高くなっています。
サ付き住宅では、建設費の支援や税制の優遇がある代わりに、住宅に住む老人への「医療の支援」や「日常生活の監視」などのサービスを義務にしています。そこで、これらのサービスを支援する企業も出てきました。五段目の写真は、治療薬を宅配する薬局です。各サ付き住宅と提携し、その住宅に住む老人が必要とする治療薬を六段目の写真にあるように一回分の分量に袋詰めして配送してくれるのです。薬局に老人が出向かなくとも、処方せんをサ付き住宅から一括して渡せば治療薬をまとめて配達できる仕組みとなっています。
また、サ付き住宅の運営では、高齢者の日常生活の安否確認が運営者の義務となっています。このため、老人の行動を監視したり、非常時に連絡できるシステムを販売する企業のブースも多く見られます。サ付き住宅では、老人は相部屋ではなく個室のため、運営者が常時見守ることができず、このような電子的なシステムが必要となったのでしょう。七段目の写真はベッドにセンサーを配置し、老人の動きを監視するもので、八段目の写真は緊急時に老人が管理者を呼び出すことのできる通報装置です。このような電子的な監視、通報装置は比較的構造が簡単なため、多数の業者が出品していました。
2013年8月4日