災害は忘れた頃にやってくる、のですが行き過ぎの点もあります。
地震や津波などの災害から人命、資産を守るため装置や備品などを出品する「震災対策技術展」に行ってきました。地震による被害を最小限にくい止めたり、災害後の復旧に役立つ商品や装置の商談に利用される見本市です。この見本市は2011年の東日本大震災があったので開催されたかと思ったら、今回は19回目で随分前から開催されているようです。東日本大震災により人々が震災に対する関心が高まったので、新たな商機があると考えて開催した便乗のものではなさそうです。大震災よりも前からこのような防災に付いての産業があったようなのですが、その時は世間ではあまり関心がなかったのでしょう。
この見本市は民間の展示会開催企業が行っているもので、東京ビッグサイトで東京都などの公共団体が主催しているものとは性格が違っているようです。また、この主催者は同じ内容の見本市を宮城、大阪などでも開催しいて、それなりの需要があるようです。昨年もこの見本市に出掛けたのですが、その時は会場のブースには多数の出店者で溢れていました。今年の会場では出店者が少々減っているようで、二段目の写真のように会場内には空いているスペースもありました。災害への関心が薄れてきたのか、それとも、新規参入した企業では売上げが望めずに撤退したのかのいずれかでしょう。
会場で目を引くのが特殊な自動車で、三段目の写真にあるようにどんな災害地でも走行できるバギーです。四輪駆動であってサスペンションが特殊なため、車体が大きく傾いていても走行できるのです。四段目の写真はその車輪であり、ゴムタイヤではなく何とプラスチックタイヤでした。これなら釘や瓦礫にタイヤが当たってもパンクしないでしょう。しかし、災害が発生していない時には、この自動車は何に活用するのか不思議です。
防災については各地方自治体が大きな関心を持ち、海岸付近には防災タワーが建設されるところが多くなってきました。補助金も出るようなので、各地には五段目の写真にあるような鉄骨造りのタワーが建設されるのが珍しくなくなっています。しかし、このようなタワーは昔に批判を浴びた「箱もの行政」とソックリ同じであり、ゼネコンの仕事を増やすだけではないかと思われます。もっと実質的に防災に役立つ対策を考慮して欲しいものです。
六段目の写真は防振床の実演をしているブースです。地震の揺れによりコンピュータや家具が転倒するのを防止できるものです。コンクリート床の上にレールを敷き、その上にコロを介在して可動床を施設したものです。コンクリート床が地震で揺れても、その上にある可動床は慣性によってその位置から移動しなくなります。実演のために可動床に座っている参加者には振動が伝わらず、地震があったことを感じさせませんでした。
2015年2月17日