全て「こだわり」の食品であり、一般消費者とは縁遠いかもしれません。
有楽町の駅近くで開催された「通販食品展示商談会」にでかけてきました。食品を主体として商談会であることは間違いないのですが、頭に「通販」とあるため通販できる食品の商談ということになりましす。しかし、この見本市では一般に通販されるような食品は展示されません。アマゾンや楽天といった大手の通販サイトで販売しているような食品は、どちらかと言えば大手食品会社や農協などから提供されるようなマスマーケッティングで製造されている食品が多いのです。しかし、この見本市では大手の流通業者では嫌がるような少量生産のこだわりのある食品ばかりが展示されているのです。
出店者は、全国各地にある小さな農業、水産業者、食品加工業者、食品輸入業者ばかりで、特徴のある食品しか製造、販売、輸入しない人達なのです。来場者は、通販業者の他に、大手デパート、贈答品業者、高級食材店、高級レストランの仕入れ担当者なのです。この見本市では「通販」とタイトルしているのですが、実際には通販業者よりも贈答品を扱う専門店や高級食材店の担当者の来場が目立っています。
贈答品や高級食材の専門店がこのような見本市に来場する理由は、とにかく「目新しい商材」を必死になって探しているからです。バブルの時は飽食の時代と呼ばれ、国内には食材にあふれていました。国民全員が美味しい料理を楽しむことができ、下層階級の人達でもグルメと呼ばれていました。バブル崩壊後は一般の人の生活レベルは落ち、生活するのが大変となったのですが、それは中流以下の家庭なのです。不況になっても高額所得者はまだ多く残っているのです。一般市民の収入は減少したのですが、高所得者は相変わらず同じような収入があってバブル時代と同じ生活を続けているのです。日本国内の家庭での収入の格差が大きくなっただけのことで、高額所得者は相変わらず美味しい料理を追求し続けているのです。長年の間、美味しい料理を食べている本物のグルメでは、いくら美味しいといっても同じ料理や食材を食べ続けていると飽きてくるのです。このため、贈答品や高級食材の専門店では、さらに美味しい、さらに目新しい食材を探さなければならない宿命にあるのです。
出店者は農家や漁師、畜産家であったり、野菜、果物、水産物、食肉の加工業者ですが、それぞれこだわりを持った食材を展示しています。各ブースには、「無農薬」「オーガニック」「自然農法」「有機栽培」などの文字が強調されたポスターが見つけられました。美味しい食材であっても身体に悪いのでは売れないからです。本当のグルメは健康指向なのです。
七段目の写真は、この見本市の主催者のブースなのですが、パネルにはハワイで開催する見本市の出店を呼びかけていました。日本の食材は低農薬であり、安全性が高いことで世界に著名です。このため、海外にも販路を広げようとしているのですが、開催場所はハワイよりも東南アジアの方が適しているのではないかと思います。それとも、ハワイに観光に来る日本人を相手にして高級食材を売り込もうというのでしょうか。
2015年9月16日