顧客が納得しなければ購入しないはず、顧客のニーズを判断すべきでは。
危機管理産業展には毎年変わった商品が出品されています。災害という非日常的な事件に対処するのですからありふれた商品であっては防災には役立たないはずです。そこで商品を開発する人達はイロイロと災害の発生を想定して商品企画をすることになるのですが、的を外れたような企画もあります。意外性をもって防災に役立つとは限らないのです。思いつきではなく、防災への思考方法を考えてみるべきではないでしょうか。
一段目、二段目の写真は生徒のための防護頭巾です。発泡ウレタンなどで成形したもので、通常は腰掛けにカバーのように置いてクッションにするのです。災害の発生時には椅子から剥がして頭に被ることで落下物から身体を保護できるというものです。考え方は正しいのですが、何時発生するか判らない災害のために常時クッションとして長年使うことはないでしょう。また、このクッションのために専用の椅子が必要となります。在来からある椅子に使用したら座り心地が悪くなるので、長期には使われないでしょう。専用の椅子も供給しなければならず、長い間にはゴミとして捨てられるのではないでしょうか。
三段目、四段目の写真は津波などの水害があった場合に、駐車場がシェルターになるという商品です。説明するのが少々ややこしいのですが、駐車場そのものを浮きにしてしまうのです。車を乗せる台の下にドラム缶を並べて浮き子とし、ドラム缶と駐車場を一体化します。そして、自宅の庭などを掘り下げて車体を乗せる台と地面を同じ高さに設定します。平常時には自動車は台の上に駐車でき、地面と同じ高さであるのでそのまま出入庫できます。水害が発生したなら、ドラム缶の浮力により駐車場全体が船のように浮き上がります。家族などは浮いた駐車場に乗ることで避難することができる、はずというものです。そうとうに無理のある説明であり、万一の水害のときに上手く浮いてくれるでしょうか。また、浮いた駐車場に家族が乗ることができるでしょうか。アイデアは面白いのですが、実用性を考えると二の足を踏んでしまいます。
2015年11月9日