青梅、奥多摩などでは意外にも力のある中小企業があるのです。
東京の西部、特に、立川から青梅線で更に奥に入った奥多摩地域には製造業が多いのです。青梅市などは青梅線の終点で、東京駅から見ると交通の不便な地域です。しかし、この地域には多くの製造業が営業しているのです。その理由は、近くに産業地域の立川市、昭島市などがあり、部品などを製造する中小企業は近い位置にあるからです。また、戦争中に中小企業が青梅市に疎開し、そのまま経営を続けていたことも原因のようです。このように郊外に位置する中小企業では、その地域性により得意な商品を製造していました。
一段目、二段目の写真は幼稚園、保育園で使用する幼児用の椅子で、多摩地域にある木工所の団体が出品していました。多摩地域には素材となる材木を入手し易いため、このような商品を加工しているのです。協同団体が幼稚園、保育園に直接椅子や机を納品しているのです。業界のことに詳しくない人からすれば、幼保用具を製造して納品するのは当然のこと、と考えるのですが、実はこれは珍しいことなのです。幼稚園、保育園で使用する用品や用具は特定の問屋がほぼ独占しており、全国の木工所では問屋を通さないと売れないのです。この協同団体は実力があるのか、昔から問屋を介さずに幼稚園、保育園に直接納品しているそうです。
三段目、四段目の写真は、印影を照合する機械です。登録してある印影と捺印した印影を比較し、どの程度類似していないかを測定できるのだそうです。本業は印鑑を彫る彫刻機を製造しているメーカーです。しかし、印影照合機は銀行ではシステムに組み込まれており、金融機関には納品できません。誰に売り込むのか少し疑問です。
五段目の写真は少し変わった商品で、ワインの酸化を防止する道具です。シリコン樹脂で出来た丸い薄板をワインボトルに入れると、液面に薄板が浮かび、ワインの液面が酸素と接触する面積を減らし酸化するのを防止するのができるとのことでした。ただし、ワインを飲みきった後で、この薄板をどのようにして取り出すのかが問題です。この点を担当者に質問したところ、「割り箸などで引き出して下さい」と説明してました。細いワインボトルの口から薄板を取り出すのは簡単ではないはずで、何だかアイデア倒れのような新製品でした。
六段目の写真は焼き栗製造機です。国内で流通している焼き栗の殆どは中国産の薄皮のものですが、青梅付近で採取される和栗は皮が厚く、フックらと焼けません。この機械では圧力釜と同じように内圧上げて蒸気を注入し、和栗をホクホクとした焼き栗に加工できるのだそうです。大量に加工は出来ないのですが、イベントなどで実演販売するために製造したとのことでした。
2016年11月9日