アイデアは面白いのですが、市場とは全く一致しないのが原因です。
何時ものことですが、産業交流展には毎年新しいアイデアによる商品が出品されています。しかし、新商品が必ずしも売れるとは限らないのです。その一番の原因は発明者の思い込みで、「売れるはず」と確信してしまうからです。最初から売れる商品は存在しないので、試行錯誤するための一つのステップかもしれません。業界の活性化のためには、売れない新商品も必要であり、それが無いと進歩しないもです。
1段目の写真は紙製のマネキンです。現在のマネキンは殆どがプラスチック製であり、使用後の廃棄が問題となっています。世界全体で廃プラを減少させる傾向にあり、潮流に沿った考え方でしょう。しかし、数十年前まではマネキンは紙で製造されていたのです。大量生産、価格低下のためにプラスチック製に置き変わった歴史があります。新しい製造技術ではありません。
2段目、3段目の写真は飼い猫の避難用キャリー箱です。プラ段ボールで出来ていて、災害時には組み立てて飼い猫を運ぶのだそうです。専用の保管袋もあり、通常はこの袋で保管し、いざとなると取り出すのだそうです。何時発生するか不明の災害のためにわざわざ購入する人は少ないでしょう。
4段目の写真は常備薬を管理するための道具です。上下左右に配置したポケットに朝昼夜寝る前の常備薬を入れ、薬を取り出すとセンサーで服用したかどうかを検知することができるのだそうです。患者が薬を飲んだかどうか、遠距離にいても分かるようになっていて便利です。しかし、このセンサー付きポケットの価格が10万円というので、売れ行きは不明でしょう。同じようなポケットを付けただけの薬入れは100円ショップでも売っているからです。
5段目、6段目の写真は「発明学会」という団体が開設したブースで、学会の会員が開発?した各種のアイデア商品を展示していました。この団体は個人が考えたアイデアを商品化して販売代理をうたい文句にしているのですが、展示されている商品は素人が案出したアイデアが多く、あまり売れるとは思われません。むしろ、個人によるアイデアを創作する趣味の一つのように思われました。説明している開発者は老人が多く、定年後の暇つぶしといった雰囲気でした。
2019年12月29日