変化しないと思われる業界なのですが、水面下では改革があるのです。
昔から葬儀業界は、喪主から連絡があってから斎場の準備をして、葬儀を執り行うのが業務と思われてきました。このため、社会からは十年一日の如く変わらない業界であるという先入観を持たれています。しかし、葬儀業界では年々変化しており、意外にも進歩の速度は早いのです。今年も新しいアイデアのサービスや商品が出店されていました。
1段目の写真は「成仏不動産」といい、訳あり物件を専門に売買する業者です。訳あり物件とは、自殺したり、孤独死したり、殺人事件のあった家屋やマンションのことです。このような物件はあまり好まれるものではなく、売買がしにくいものです。そこで、この不動産業者は訳あり物件を入手して、相場よりも安く販売しています。世のなかには、事故物件であっても気にせずに居住する人もいます。そのような人に物件を斡旋し、持ち主、不動産業者、買い主の何れもが得することにしたのです。葬儀業界の見本市に出店していのは、訳あり物件を葬儀屋から紹介してもらうことが目的なのです。
2段目、3段目の写真は、樹木葬の墓地を開設するコンサルタント業者です。昨今では、独身者や子供のいない夫婦が増え、亡くなってからの遺骨の保管に問題が発生しています。そのため、遺骨を樹木の近くに散骨し、墓石を建てない葬儀が増えています。しかし、樹木葬の墓地を開設するにはそれなりのノウハウが必要で、この会社はそのコンサルタトをするのです。なお、この会社では、パンフレットには1千円の定価を付け、販売していました。本当に情報が欲しい人だけにパンフレットを渡すのでしょう。また、それだけ仕事に自信があるのではないでしょうか。
4段目、5段目の写真は段ボール製の「後飾り」です。葬儀が終わり、遺骨が自宅に戻ってくると、49日が終わるまで遺影と遺骨を保管するための祭壇が用いられます。この祭壇を「後飾り」と呼んでいます。この2つの後飾りは数千円で、使用目的が終わったら焼却などで廃棄することができます。自宅の事情などにより、仏壇が設置できない遺族に使われているようです。6段目も後飾りですが、こちらは一見すると木製のようですが、これも段ボール製です。価格は3万円程度で、それなりの見栄えを求める顧客に向けて販売しているようです。
7段目の写真は、アメリカ製のストレッチャーを展示しているブースです。フォーノ社が製造しているストレッチャーで、国内の救急車の半数以上に搭載されている、という有名な商品です。丈夫で使いやすい、という特徴があるためで、アメリカ製品であっても日本の業界を制覇している商品の一つです。
2021年7月7日