葬儀業界はコロナで大打撃で、今後の葬祭は変わっていくようです。
今年も「フューネラルビジネスフェア」に出かけてきました。最近は出かけるのが億劫になったのか、見本市には出かけてません。一年ぶりの見本市の参加で、場内を歩いたために少々くたびれました。この葬儀業界の見本市に関心があるのは、これからの開発される業界であるからです。人口ピラミッドにより死亡者数は増加にあります。年度別の死亡者数は次のようになります。
2005年 1,083千人
2010年 1,197千人
2015年 1,290千人
2019年 1,381千人
2040年 1,679千人 (推定)
このようにマーケットが広がっているのは事実なのですが、見本市会場は盛り上がりがありません。それはコロナの影響により、葬儀の形態が変わってきたからです。2022年5月に「株式会社鎌倉新書」では「お葬式に関する全国調査」を発表しています。これは2020年3月から2022年3月の間に葬儀をだした喪主からの聞き取りの結果を集計したものです。葬儀の種類の変化を2年前と比較すると次のようになります。
2020年 2022年
一般葬 48.9% 25.9%
家族葬 40.9% 55.7%
一日葬 5.2% 6.9%
直葬・火葬式 4.9% 11.4%
その他 0.1% 0.2%
一般葬とは知人、関係者も参列する従来の葬儀で、家族葬とは親族だけの葬儀で、一日葬とは通夜をせずに告別式だけの葬儀で、直葬・火葬式とは何もせずに火葬だけのことです。知人、会社の同僚なども参列する一般葬がいかに減少したかが判ります。そして金銭的な面でも大きな変化がありました。
2020年 2022年
平均の葬儀費用 184.3万円 110.7万円
平均のお布施 23.7万円 22.4万円
平均の香典 71.1万円 47.2万円
全ての費用が減少していて、葬儀数は増加しているのに対して費用が大きく減少していることが判ります。これでは葬儀業界も萎縮してしまう訳です。つまり、単価が安くなり、仕事は増えているが利益が出ないという悪循環になっています。
このように葬儀業界では経済的に大変な時代になってきましましたが、その根本的な原因はコロナウイルスです。コロナに感染するのを防止するため、人との接触をなるべくさけ、葬儀は家族だけで参列する小規模なものに変わってきたようです。今までのように、知人、同級生、会社の同僚などに連絡し、参拝者が数十人となるような一般葬はしなくなる傾向にあります。また、小規模な家族葬であっても何も問題なく野辺の送りができることが判ってしまったので、「今までの一般葬は何だったのか」という発想の転換になってきたようです。すると、これからは家族葬が主流となり、費用のかかる一般葬はしなくなり、益々葬儀業界は潤わなくなる、と想定されています。さらには、通夜も告別式も何にもせず、火葬場に直行する直葬も増えていて、業界では深刻な問題となっています。これがフューネラレルビジネスショーの盛り上がらない要因となっているようです。
今年のフューネラレルビジネスショーでは、出店者は122社でしたが、出店者の入れ代わりが多く、30%は新顔のようでした。今まで出店していた仏壇会社や線香・ローソク会社は見かけず、異業種からの出店が目立ってました。葬儀業界は冬の時代に入ったのではないでしょうか。
一段目の写真は祭壇を展示していたブースですが、生花ではなく造花でした。例年ならば生花による祭壇のデモンストレーションがあるのですが、今年はありません。生花による葬儀が減っているのかもしれません。
二段目の写真は会場の風景ですが、来場者は昨年と同じか少し減っているのではないかと思われます。
三段目の写真は白木の祭壇を展示したブースです。葬儀屋にとっては必需品なのですが、最近はこのような祭壇の展示は珍しくなってきています。
四段目の写真は水着のモデルを配置したブースです。葬儀の見本市で水着のモデルを配置したのは始めて見ました。業種は生花の問屋のようですが、来場者の注目を得るための工夫でしょうか。
五段目、六段目の写真は納骨の新しいシステムを提案するブースです。円筒形の筒に遺骨を挿入し、網の目のようになった金属製の棚に挿入して保管しようというものです。この構造であれば狭い場所でも多くの遺骨を納骨することができます。少々無機質ですが、これで十分と考える遺族もいるかもしれません。
2022年6月18日