これから発展していくと思われる葬儀業界の先端技術がありました。 十年一日の如く、あまり変化の無い葬儀業界ですが、裏側では最先端のデジタル技術が応用されてきています。ZOOMで遠距離でも葬儀にバーチャル参拝できるのは素手に知られたデジタルサービスです。一段目にある写真は、今年初めて登場したもので、ブースでは「AIによる故人の復活」を提案していました。故人の生前の写真、音声、電子メールにより、故人を動画で再現し、音声を合成し、葬儀の場で参列者に故人の思いを語りかける、というサービスを展示していました。 AIの技術の発展により、残された写真や音声から故人を動画で再現し、生前の御礼や関係者へ伝えたいことなどをあたかも本人が話すようにして映し出すことができるようになりました。数年前、韓国のIT企業が亡くなった幼児の動画を再現し、あたかも生きているかのように映し出す技術を公表して世界に反響を得ました。私もこの再現動画を観たことがありますが、幼児がお花畑で歩く姿が映し出され、滑らかな動画に驚かされました。世界のAI技術はここまで進歩しているのです。このような故人の復活動画については賛否両論があり、悲しみを増やすだけという意見や、思い出をさらに重ねることができるという意見もあります。しかし、このような復活動画は、一部の遺族からは必要とされ、これからの葬儀で見かけられることも多くなるのでしょう。 二段目の写真は、デジタル遺品整理を行う企業のブースです。パソコン、スマートフォンに残された情報には銀行口座管理や証券管理などの非常に価値の高いものがあります。しかし、パスワードが故人だけが掌握していると遺族は解読することができず、トラブルの原因となります。この企業はパスワードを解読し、データの処理を行うことを代行していました。デジタル遺品の整理は素人ではできず、これから重要な業務になっていくとかんがえられます。 三段目の写真は、Tシャツの背中に「棺桶屋」と印刷した人です。この人はデザイン学校を卒業し、オリジナルのデザインをした棺桶の制作を請け負うのを仕事にしているとのことです。かなりユニークな仕事なのですが、それなりに発注する人もいて商売になるそうです。 四段目の写真はとあるブースの前で客引きしていた女性です。たすきには「ミス、お墓女子」とプリントされていました。お墓が好きな女性なのか、お墓を見るのが趣味の女性なのか不明ですが、このようなキャッチコピーは驚かされました。 2024年8月1日
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葬儀ばかりではなく、葬儀の前後でも支援しています。
人間の寿命では色々としなければならない手続きが多くあります。 一人の人間が死亡すると、葬儀ばかりでなくその後にしなければならない手続きが沢山あります。遺産相続から始まって、不動産の売却、遺品の整理と廃棄、各種官庁への書類提出などがあり、そのためのマニュアル本も複数種発売されています。このため、この見本市には、遺族が葬儀以外の手続きを代行、或いはサポートする団体の出店も多く見られました。これらのサポート団体は、主に行政書士、司法書士などが運営していて、以前から見かけられたのですが、出店するブースの数は増えているようです。遺産相続の手続きについては、行政書士、司法書士にとって大きな市場であり、これからも多くのサポート団体が進出すると思われます。 一段目の写真は、「葬儀の後にするマニュアル」「エンディングノート」を販売している会社です。葬儀社にこれらのマニュアル、ノートを販売し、葬儀社はそれらを遺族に無償で配付するのだそうです。配付した結果として、遺族や遺族の関係者がその葬儀社を記憶してくれていて、次の葬儀のときにその葬儀社を利用してもらえる手掛かりとなる、ということのようです。葬儀社の一種の販売促進商品のようなものでしょう。 二段目の写真は、遺産相続を一括して請け負います、という行政書士法人のブースです。この他にも行政書士の方のブースが何件か見かけられました。 三段目の写真は、家じまいをコンサルタントする団体で、遺品整理と共に家じまいをしませんか、というものです。四段目の写真は終活の相談を受け付けますという団体でした。葬儀後の家じまい、遺品整理のサービスは、葬儀社とタイアップし、葬儀後に喪主を紹介してもらうことが狙いなようです。これだけ終活を支援する団体が多く出現しているのは、それだけ終活が魅力のある仕事なのだからでしょう。新聞、テレビでも終活を勧める広告が多く目立っているのは、利益率が高い業界ではないかと邪推してしまします。 五段目の写真は、高齢者の介護であるデイサービスをフランチャイズで募集している企業です。葬儀社がデイサービスを行えば、高齢者が集まります。その後、何時かはその高齢者は葬儀社のお客さまになってくれるはず、という思惑があるからでしょう。 2024年8月1日
葬儀社向けに色々な業者がサービスをしていました。
古い体質の業界と思われますが、補助する業者の参入が見られます。 葬儀業界は、死者を弔うことから始まったので、それこそ人類が発生した時から活動していた古い業界です。このため、業界の体質が古いと言われてきましたが、ここ20年位の間に価格破壊、他業種からの参入などの大きな改革がありました。それでも、まだ古い慣習は残っているようで、新しくサービスを開始する企業も見受けられます。 一段目の写真では、ブースの壁に「丸投げOK!」の大きな文字が描かれています。葬儀社の仕事をそのまま下請けして代行する、という企業です。霊柩車、遺体冷蔵室、斎場などを持ち、病院からの遺体の搬出から葬祭全般までの一連の作業を代行します、というのがうたい文句です。要するに、葬儀社がする仕事の全てを代行できるので、葬儀社は顧客の開拓だけに専心すれば良い、というスタンスなのでしょう。完全な分業化となり、葬儀社は社長が一人だけで十分で、日中は社長が営業にでかけ、契約が成立するとこの会社に代行を委託できる、ということになります。工場を持たないファブレス企業が増えていますが、この代行会社は斎場や設備をもたないファブレスの葬儀社を相手にしようとしているようです。 二段目の写真は、土葬を請け負う会社の業務案内です。昭和23年の埋葬等に関する法律により、日本国内では感染防止のため火葬が主流になっています。土葬は禁止されてはいませんが、市町村の埋葬許可書が必要となり、ほぼできないと考えて良いでしょう。しかし、イスラム教、一部のキリスト教では宗教上の理由から火葬を拒否しています。このような場合でも、国内で土葬できる土地を確保し、埋葬を代行する業者もいるのです。このため、2021年度における土葬は462件あったそうです。 三段目、四段目の写真は、空家を買い取ります、という不動産業者です。全国的に地方では両親が死亡すると実家が空家になるケースが多くなり、空家が増えています。空家の増加は増えることがあっても減ることはないようです。このような空家を買い取ってリニューアルし、価値を高めて販売しようという方針なのだそうです。しかし、どんな空家でも引き取る、とは明記していないので、この不動産屋が引き取る(例え、無聊でも)空家は確実に「売れる家」と査定した場合だけでしょう。また、本社が千葉県東金にあることから、千葉県内の不動産が主な対象となっているようです。私企業なので、売れそうもない空家を引き取るようなことは出来ません。あくまでも売れると判断できる空家だけが対象なのです。 五段目の写真は、「MarksLife」という不動産業者で、再建築不可、事故物件などの訳あり不動産を専門に扱っています。要するに、自殺したり、孤独死したりしたような誰も手を出したがらない不動産を扱っているのだそうです。どこかで見たような不動産業者だな、と思っていたら以前は「成仏不動産」という名前で出店していた業者でした。2021年、2022年には「成仏不動産」で、2023年には「マークス不動産」で、今回は「MarksLife」という名称でブースを展開してたのでした。やはり成仏という名称では「亡くなった人が何だか成仏していない不動産では」と勘繰られて営業が上手く行かなかったのでしょうか。 2024年8月1日
2024年のフューネラルビジネスフェア。/
今年の出店者は異色の業種がみかけられました。
昨年、2023年の死亡者数は過去最多の159万人を突破しました。これからも死亡者数は増加していき、そのピークは2040年で168万人になると予想されています。戦後のベビーブームの年齢層の人達が高齢になり、平均寿命に達する年代になるからです。すると、葬儀業界はこれから十数年は需要の増加を期待できる、ということになるのですが、そうはいかないのが現実です。葬儀は出席者が少ない家族葬が主流になりつつあります。喪主の中には、通夜を行わずに葬儀だけを執り行う一日葬、一切の宗教行事を行わずに火葬だけを行う直葬も増えています。
このように、死亡者は増えているのですが、社会全体では葬儀の規模を小さくして費用をかけない風潮が強くなり、葬儀業界には逆風の情勢となっています。葬儀の規模が小さくなる傾向は止められませんが、これからも一定数の葬儀が執り行われるであろう、と予想されています。それは死者との縁を心情的に断ち切るには、何らかの儀式が必要であるから、と言われています。葬儀は小さくなっても、死者を弔うという行為は永遠に続くでしょう。
葬儀業界の中には「小さなお葬式」とタイトルして、規模を小さくして費用のかからない葬儀を勧めてくる業者もあります。また、喪主の方も費用に対してシビアになってきているようです。しかし、必ずしも喪主が葬儀にかかる費用を減少させるものではなく、納得いくサービスや思い出に必要な商品であれば金額の高さにかかわらず受け入れています。このことから、各業者は色々なサービスや商品を開発しています。
今年の出店者は135社と昨年の142社に比べると減少していますが、ユニークな企業が増えていました。新規の出店者が増えたのは、ブースの利用料を値下げしたのでは、という噂もあります。それはさておき、葬儀業界に異業種が進出し、活性化することはいいことです。来場者の方も少し増えているような感じがしました。
三段目の写真は葬儀のトータルファッションを勧める業者で、棺桶、仏衣、骨壺、収容箱などを同じデザインで統一しようとするものです。斎場に並べられた葬祭用具が同じ絵柄のデザインであれば、参列者は感動するでしょう。しかし、故人はトータルファッションを観察できないのですから、葬儀を主催する喪主の好みでしょう。
四番目の写真は、木製の白木祭壇を展示したブースです。最近の葬儀では、生花を多数並べた生花祭壇が主流となっていて、白木祭壇を利用することは少なくなってきました。このため、この見本市においても白木祭壇が出品されたのは数年ぶりのことではないかと思われます。しかし、地方ではまだ白木祭壇の需要があるようです。また、葬儀を豪華に見せるため、白木祭壇を利用することもあるようです。
五段目、六段目の写真は「あなたぐるみ」というマスコットを制作している企業のブースです。故人の写真から、顔つきが似たぬいぐるみをオーダーメードで制作するものです。葬儀後にぬいぐるみを手元に置き、故人を偲ぶために利用するのだそうです。この会社は、元々は幼児用のぬいぐるみを通信販売していたようですが、今回は故人向けの商品に変えたようです。
2024年8月1日