今年の出店者は異色の業種がみかけられました。
昨年、2023年の死亡者数は過去最多の159万人を突破しました。これからも死亡者数は増加していき、そのピークは2040年で168万人になると予想されています。戦後のベビーブームの年齢層の人達が高齢になり、平均寿命に達する年代になるからです。すると、葬儀業界はこれから十数年は需要の増加を期待できる、ということになるのですが、そうはいかないのが現実です。葬儀は出席者が少ない家族葬が主流になりつつあります。喪主の中には、通夜を行わずに葬儀だけを執り行う一日葬、一切の宗教行事を行わずに火葬だけを行う直葬も増えています。
このように、死亡者は増えているのですが、社会全体では葬儀の規模を小さくして費用をかけない風潮が強くなり、葬儀業界には逆風の情勢となっています。葬儀の規模が小さくなる傾向は止められませんが、これからも一定数の葬儀が執り行われるであろう、と予想されています。それは死者との縁を心情的に断ち切るには、何らかの儀式が必要であるから、と言われています。葬儀は小さくなっても、死者を弔うという行為は永遠に続くでしょう。
葬儀業界の中には「小さなお葬式」とタイトルして、規模を小さくして費用のかからない葬儀を勧めてくる業者もあります。また、喪主の方も費用に対してシビアになってきているようです。しかし、必ずしも喪主が葬儀にかかる費用を減少させるものではなく、納得いくサービスや思い出に必要な商品であれば金額の高さにかかわらず受け入れています。このことから、各業者は色々なサービスや商品を開発しています。
今年の出店者は135社と昨年の142社に比べると減少していますが、ユニークな企業が増えていました。新規の出店者が増えたのは、ブースの利用料を値下げしたのでは、という噂もあります。それはさておき、葬儀業界に異業種が進出し、活性化することはいいことです。来場者の方も少し増えているような感じがしました。
三段目の写真は葬儀のトータルファッションを勧める業者で、棺桶、仏衣、骨壺、収容箱などを同じデザインで統一しようとするものです。斎場に並べられた葬祭用具が同じ絵柄のデザインであれば、参列者は感動するでしょう。しかし、故人はトータルファッションを観察できないのですから、葬儀を主催する喪主の好みでしょう。
四番目の写真は、木製の白木祭壇を展示したブースです。最近の葬儀では、生花を多数並べた生花祭壇が主流となっていて、白木祭壇を利用することは少なくなってきました。このため、この見本市においても白木祭壇が出品されたのは数年ぶりのことではないかと思われます。しかし、地方ではまだ白木祭壇の需要があるようです。また、葬儀を豪華に見せるため、白木祭壇を利用することもあるようです。
五段目、六段目の写真は「あなたぐるみ」というマスコットを制作している企業のブースです。故人の写真から、顔つきが似たぬいぐるみをオーダーメードで制作するものです。葬儀後にぬいぐるみを手元に置き、故人を偲ぶために利用するのだそうです。この会社は、元々は幼児用のぬいぐるみを通信販売していたようですが、今回は故人向けの商品に変えたようです。
2024年8月1日